1. 脂肪注入とリスク
施行部位には主に顔面と乳房があります。前者は下眼瞼や頬部が多く、後者では豊胸目的が主です。脂肪採取は、腹部や大腿部が殆どのようです。しかし、採取された脂肪は生体内で全て生着して新しく自分のものとはなりません。従って、顔面では量が少ないので、脂肪細胞が死んでも、注入された脂肪はワセリンやパラフィンのような炭化水素系異物になって皮下に残り、時にシコリになりますが、これが豊胸術では大量に注入されるので、多数のシコリになったり、感染して皮膚潰瘍になることもあります。
この感染が高じれば敗血症となって、生命に関わることもあります。
さらに、前項の脂肪吸引と同じく、血管内に脂肪が注入されれば、肺血栓・塞栓になることもあり得ます。そうすれば生命に関わるということも否定できません。
また、形成されたシコリが、乳癌の自己診断や画像検査でも初期乳癌の発見を阻害して、生命予後に関わる可能性もあります。
死亡例の提示:脂肪吸引・注入での死亡例の裁判に出廷して。
私が形成外科の教授であった頃の話です。脂肪吸引の名人と謳われていたある有名な美容外科医が、脂肪栓塞か何かで、10代の少女を死亡させて訴訟になっていました。その鑑定医として、私は法廷に呼ばれ裁判に出廷しました。被告の医師は顔見知りでしたが、私は原告の遺族の証人として対峙しました。それから2週間後、その被告医師が自殺したと言う報告を受けました。その医師には呵責の念があったと思われ、美容医療の責務を痛感し、冥福を祈った次第でした。
2. 脂肪溶解剤とリスク
脂肪融解剤注入による脂肪組織の減量は、メゾセラピーなどの呼称で、一部の美容外科施設ではホームページなどで、安全であり効果もあると謳っています。その謳い文句に異論はありませんが、製品の成分は誰も検査して確認したものではありませんし、注入量の指標も明確ではありません。
私が以前ある警察署の刑事さんに、刑事事件成立の意見を聞かれた地方の美容クリニックで行われた、脂肪溶解剤の後遺症の症例について述べます。
その後遺症は両大腿部の皮膚壊死による筋肉まで届く潰瘍と言う、可成り惨めなものでした。少なくとも成分の不明瞭な薬剤を、体内に注入すると言う医療行為は、常にリスクがあると思ってください。
スクエアクリニック公式HP
警鐘!美容医療の落とし穴: 〜美容外科・美容医療に 纏わるトラブルや後遺症集
美容医療で死なないために: 美容外科・美容医療に纏わるネガティブな問題と近未来への提言
#脂肪注入 #脂肪溶解剤
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