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執筆者の写真HIKO HYAKUSOKU

皮膚科診療における外用剤の使い方

ステロイド外用剤を塗ってはいけないもの

白癬(#水虫、#いんきん・たむし)、ステロイド皮膚炎、ステロイドによる白癬増殖、ニキビ・毛嚢炎、ウイルス性疾患、感染創、広範囲熱傷

 

ステロイド外用剤の強弱(製品名はすべてTM)

中等度弱めーロコイド、アルメタ、キンダベートなど。

中等度強め―リンデロンVG.デルモゾール、メサデルムなど。VGのGはゲンタシン

強いーリンデロンDP,マイザーなど

とても強い―デルモベート、フルメタ、デルトピカなど


 

下図は、代表的なステロイド外用剤。

軟膏とクリームの区別、ステロイド外用剤の強弱について留意する。

オイラックスや保湿クリームと混合するなら、ステロイドクリームを選択する。


体の部位によるステロイド外用剤の使い方

顔や首―原則ステロイド禁、但しかぶれなどの急性期は、1週間以内をめどとして,弱ステロイド剤を、一日2回塗布させる。そのあとは非ステロイド剤に変更する。小児では3日位とする。男性の陰嚢湿疹でも、皮膚が薄いので長期のステロイド剤塗布は望ましくない。

体幹、四肢は皮膚が厚く、ステロイドの吸収が悪いので、中等度から高度のステロイドは症状によっては、使用できる。


 

非ステロイド外用剤の有用性

フェナゾール、など。湿疹か白癬かわかりにくい時は、フェナゾールを塗布して経過をみる。ヘルペスにも有用である。


非ステロイド消炎外用剤の代表的な、デナゾール軟膏。

 


#軟膏と#クリームの使い分け

外用剤は、殆ど必ず「軟膏」と「クリーム」がある。クリームは水で流せるが、軟膏は石鹸を使わないとながせない。簡単に言えば、軟膏は油でクリームは水である。 だから、両者は混合できない。水と油は混ざらない、と言うことである。


 

抗生剤含有外用剤

ゲンタシンがその代表である。基剤がワセリンなので、創の保護作用もある。ゲンタマイシンは緑膿菌に抗菌作用があるが、今は耐性菌も多いので、むしろワセリンの基剤が有用なのであろう。新鮮創や感染しつつあるヘルペスに用いる。

抗生剤のゲンタマイシンとワセリン基剤で構成されるゲンタシン軟膏。クリームもある。


 

抗真菌薬

足白癬(みず虫)、陰部白癬(いんきんたむし)、カンジダ皮膚炎には、ラミシール、などの抗真菌剤を塗布させる。爪白癬にはローションがよいが、根治には内服を1年以上続ける必要がある。


 

抗掻痒外用剤

オイラックス、レスタミン、などのかゆみ止めがある。原則として、ステロイドのクリーム製剤と混合したり、重ねて塗布する。但し、オイラックスHはHがハイドロコーチゾンでステロイドなので、ステロイドを混ぜる必要がない。


抗掻痒剤の代表。オイラックスHや、Hがヒドロコーチゾンなので、ステロイドが入っている。



保湿剤

ヒルドイド、などの製剤が有名である。かさかさの部位であれば、全身どこでも塗布できる。必要であればステロイド軟膏と重ねてもよい。


保湿剤はヒルドイドが有名だが、ヘパリン外用剤もある。

 

その他

抗ウイルス製剤として、ゾビラックス、アラセナ、などがある。

また、創の保護などに用いられる、チンクザルべがサトウザルべの商品名で流通している。しもやけにはユベラ軟膏、水ぼうそうには、カルボール・チンク・リニメント(略称:カチり)などがある。


 

軟膏に纏わる神話の検証


1.アトピー湿疹にステロイド剤は悪?

No:よく、ステロイドは一切使わないでくれ、と言う母親がいる。どうも、ネットにそのような「誤った」情報が蔓延しているようである。しかし、ステロイド=悪である、というコピーは間違いである。問題は、濃度の選択、部位による禁忌そして塗布の仕方である。長期に使うなら、弱いステロイド剤を、皮脂腺の多い顔面や皮膚の薄い首や陰嚢は、短期の塗布を勧める。


2.熱傷にステロイドは禁忌?

No:昔、広範囲熱傷にステロイド軟膏を持続して塗布して、感染を助長したことがあったようで、熱傷にステロイドは禁忌と言う神話が生まれたようである。しかし、局所の熱傷では、炎症を最小限とする目的では、ステロイド軟膏の使用は禁忌ではない。


3.蜂窩織炎にステロイドは禁忌か?

No:確かに、菌の入り口であるキズのある部位では、ステロイド剤は使わ &ない。しかし、発赤腫脹のある、例えば下肢には、炎症治療のためのステロイド剤塗布は有効である。


4.白癬菌の検出できない皮膚科医はもぐり?

Yes & No:分業制の現在、白癬菌の鏡検も検査技師に任せる嫌いもあるが、カビ検出には、材料の採取が重要である。とくに、爪白癬では、菌のない部位から材料を採取して、陰性だったから白癬ではない、と言う事は臨床医として如何なものかと思う。やはり、医師本人が材料を採取して、自分の責任で判定すべきである。

と言う事で、白癬菌の見られない医師は、皮膚科医としては好ましくないが、もぐりと言うのは、言い過ぎである。


5.表皮内癌や皮膚癌を癌内で切って転移を招いたら医師の責任か?

Yes:表皮内癌も含め、臨床的診断も独りよがりで、独断で中途半端な切除を行って、癌細胞をばら撒いたら、医師の責任である。そのような医師はメスを持つべきではない。


6.何でも#ラップを貼れと言うのは迷信か?

Yes:何でもラップ貼れと謳い、誤った自己療法を流布させて来た医師がいることは問題で、専ら糾弾されるべきである。大体、医療用品として誰も認めていない、医学的に不潔の概念の被覆材を、キズやヤケドに直接貼るなどと言う愚挙は許されない。実際、新鮮創にラップ貼布後、高度の感染を来して生命にまで差支えのあった例は複数ある。

 

ご相談は:水道橋駅前・スクエアクリニック・デンタル医科部門

までお願いします。

Ph:03-6272-8787 E-mail:info@hiko-sq.com

 

ステロイド外用剤 #水虫、#いんきん・たむし #ラップ

 






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