<隆鼻術のトラブル>
現在、隆鼻術は大別して3種類あります。
1. 最も古典的な方法は、シリコンのプロテーゼを鼻背の皮下に挿入する方法です。
2. 二つ目の方法は、耳の軟骨を耳の裏側から長方形に採取して、それを鼻背の皮下に挿入する方法です。両側の耳から採取して鼻尖部を厚くすることもあります。
3. 三つ目の方法は、ヒアルロン酸などのフィラーを注入する方法です。しかし、ヒアルロン酸はいずれ吸収してしまうので、ヒアルロン酸と称して、非吸収性のフィラーが使われた場合がかなりあるようです。
これらのトラブルについての共通点は、「形が希望と違う」、「変な出っ張りが気になる」というようなものです。長期的には入れたものが皮膚を突き破って出てきた、ということが特に異物であるシリコンでは多いようです。
耳の軟骨を取った耳のキズアトが気になる、ケロイドになってしまった、という後遺症を診察したこともあります。
しかし、最も困ったものは、非吸収性フィラーによる不自然な形態です。非吸収性フィラーは取れないので元に戻すことも形を変えることもできません。
また、ヒアルロン酸などのフィラーを鼻根部に注入する際、眼動脈に損傷を与え失明に至った、という悲劇的なトラブルも発生したことがあると耳にしました。
鼻のフィラー注入によるトラブル。
(上)シリコンプロテーゼの感染による露出。
(下)摘出したシリコンプロテーゼ。
非吸収性フィラーによる隆鼻術後、変形したがフィラーは皮膚と癒着して取れない。
<鼻形成のトラブル>
鼻の美容的形成術のほとんどは、鼻翼縮小術と思われます。主な方法は両側鼻翼の根本を切除し、且つ鼻孔底の幅を縮小することです。
キズアトは鼻の根元などにとどまるので、まず目立つことはありません。
そこで、トラブルですが、多くは鼻翼を切り取られ過ぎたとか鼻の穴が小さくなり過ぎて呼吸が苦しい、というものです。鼻の穴を広げる手術はできないことはありませんが、切り取った鼻翼は元には戻せません。形成外科的には、耳介からの軟骨を含める総合組織移植がありますが、キズアトが増えるばかりなのでお勧めできません。また、私が診察した鼻翼縮小術の後遺症で、上口唇が曲がってしまった、という事例がありました。理論的には口輪筋の感染や壊死による癒着と思われますが、極めて稀とは言え、鼻を手術して上口唇にまで侵襲が及ぶことさえあると言う警告と受け取って良いと思います。
従って、鼻翼縮小術はかなり慎重に検討して受けるべきです。
他の鼻の手術には、カギ鼻のハンプの部分を切り取り、なだらかな鼻の傾斜にする手術がありますが、この手術の適応は日本人には極めて少なく、ユダヤ人など白人に多いようなので、私は診たことがありません。
スクエアクリニック公式HP
警鐘!美容医療の落とし穴: 〜美容外科・美容医療に 纏わるトラブルや後遺症集
美容医療で死なないために: 美容外科・美容医療に纏わるネガティブな問題と近未来への提言
北岡冬木全詩集
#隆鼻術 #鼻形成
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